確定申告をしないとどうなる?無申告加算税・延滞税と期限後申告のやり方【フリーランス】

「売上が少なかったから」「忙しくて出しそびれた」などの理由で、確定申告を期限(原則として翌年3月15日)までにしないと、本来の税金に加えて無申告加算税延滞税といったペナルティがかかることがあります。ただし、気づいた時点で自分から早めに申告するほど負担は軽くなります。この記事では、フリーランス・個人事業主が申告をしなかった場合に何が起きるのか、そして遅れて申告する「期限後申告」のやり方を、国税庁の案内をもとに整理します。

結論を先に。申告が遅れると、(1)無申告加算税(税務調査の通知前に自主的に申告すれば5%、それ以降は10〜30%)、(2)延滞税(法定納期限の翌日から発生)、(3)青色申告者は特別控除が65万円・55万円から10万円に下がる、という不利が重なります。いずれも、税務署に指摘される前に自分で申告するほど軽くなります。まず申告を済ませることが先決です。

そもそも確定申告が必要なのは誰か

フリーランス・個人事業主は、1年間(1月1日〜12月31日)の事業所得から所得控除を引いた金額に所得税がかかる場合、原則として確定申告が必要です。売上から経費や各種控除を引いた結果、納める税金が出ないなら申告義務がないこともありますが、判断には正しい所得の計算が前提になります。「たぶん赤字だから出さなくていい」と自己判断する前に、まずは数字を確定させましょう。自分が申告対象かどうかはフリーランスの確定申告の流れもあわせて確認してください。

源泉徴収で税金を前払いしていて、本来は還付(払いすぎの返金)になるケースでは、納める税金がないため無申告加算税や延滞税はかかりません。むしろ申告しないと戻るはずのお金が戻らないので、こちらは早めの申告が得になります。

ペナルティ1|無申告加算税

期限までに申告しなかったことに対するペナルティが無申告加算税です。国税庁によると、令和5年分以降の申告について、申告するタイミングごとに次の割合がかかります(本来納める税金とは別にかかります)。

無申告加算税の割合(令和5年分以降。国税庁タックスアンサーNo.2024に基づく)
申告したタイミング納める税額のうちの割合
税務調査の通知より前に、自主的に期限後申告した一律5%
調査の通知後〜調査による決定を予知する前に申告した50万円まで10%/50万円超300万円以下15%/300万円超25%
調査を受けて(決定を予知して)から申告した50万円まで15%/50万円超300万円以下20%/300万円超30%

表のとおり、税務署から連絡が来る前に自分で申告すれば5%で済みますが、調査の通知後や調査を受けてからだと、納める税額に応じて10〜30%まで上がります。「いつか指摘されるかも」と先延ばしにするほど不利になる仕組みです。気づいたら一日でも早く申告するのが、結果的にもっとも負担の軽い選び方です。

次の要件をすべて満たすと、無申告加算税は課されません。(1)その期限後申告が、法定申告期限から1か月以内に自主的に行われていること、(2)期限内に申告する意思があったと認められる一定の条件(納付すべき税額の全額を法定納期限までに納付しているなど)を満たすこと、(3)過去5年間に無申告加算税・重加算税を課されたことがないこと。少しでも遅れに気づいたら、まずこの「1か月以内」を意識して動くと負担を避けられる可能性があります。

ペナルティ2|延滞税

税金を期限までに納めなかったことに対して、利息にあたる延滞税もかかります。国税庁によると、延滞税は法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて計算され、割合は次の2段階です。原則の割合は高めですが、現在は特例で軽減された割合が適用されています。

延滞税の割合(令和8年1月1日〜12月31日。国税庁タックスアンサーNo.9205に基づく)
期間原則の割合現在の軽減後の割合
納期限の翌日から2か月を経過する日まで年7.3%年2.8%
納期限の翌日から2か月を経過した日以後年14.6%年9.1%

ポイントは、2か月を境に割合がほぼ3倍に上がることです。延滞税は日割りで増えていくため、納付が遅れるほど金額がふくらみます。軽減後の割合は年ごとに見直されるため、実際の納付額を確定するときは国税庁の延滞税の案内や会計ソフトの試算で最新の割合を確認してください。

ペナルティ3|青色申告特別控除が10万円に下がる

青色申告をしているフリーランスには、見落としやすい3つ目の不利があります。青色申告特別控除の55万円・65万円は「期限内申告」が要件で、期限後申告になると控除額が10万円まで下がってしまいます(国税庁タックスアンサーNo.2072)。たとえば65万円控除を受けられるはずだった人が期限に遅れると、差額の55万円分の控除を失い、その分だけ課税される所得が増えます。加算税・延滞税だけでなく、この控除の差も含めて「期限を守る価値」は大きいといえます。青色申告の要件は青色申告と白色申告の違いで詳しく解説しています。

申告しないと、税金以外でも困ることがある

ペナルティは税金だけではありません。確定申告をしていないと、所得を証明する書類が出せず、生活の場面でも支障が出ます。

  • 所得・課税証明書が取得できない — 住宅ローンや賃貸契約、保育園の入園審査などで求められる所得証明は、申告内容をもとに自治体が発行します。申告がないと正しい証明が出ません。
  • 国民健康保険料の軽減を受けられないことがある — 所得が一定以下の人向けの保険料軽減は、申告で所得が把握されていることが前提です。未申告だと軽減判定の対象から外れることがあります。
  • 住民税の申告も別途必要になる — 確定申告をすればその情報が自治体にも回りますが、していないと住民税の計算ができません。

住宅ローンを検討している人はフリーランスが住宅ローンを組むときの収入証明、国保の負担が気になる人は国民健康保険を安くする方法もあわせて参考にしてください。

期限後申告のやり方(3ステップ)

遅れてしまっても、やることは通常の確定申告とほぼ同じです。期限後でも、できるだけ早く正しい内容で申告するのが基本方針になります。

  1. 1年分の売上・経費を集計し、所得と税額を確定する — 帳簿・通帳・領収書をもとに事業所得を計算します。会計ソフトを使えば、取引を入力するだけで所得税額まで自動で計算できます。必要書類は確定申告に必要なものチェックリストで確認できます。無料で試せる会計ソフトの比較も参考にどうぞ。
  2. 確定申告書を作成して提出する — 通常の確定申告と同じ様式で作成し、e-Tax・郵送・税務署窓口のいずれかで提出します。電子申告の手順は確定申告をe-Taxでやる方法を参考にしてください。期限後でも提出方法は変わりません。
  3. 税金を納付する — 本来の所得税に加え、後日通知される無申告加算税、そして法定納期限の翌日から発生している延滞税を納めます。延滞税は納付が遅れるほど増えるので、資金を用意でき次第早めに納付しましょう。
すでに申告は出したが内容を間違えていた、という場合は「無申告」ではなく訂正の手続き(修正申告・更正の請求)になります。直し方は確定申告を間違えたときの直し方で解説しています。

期限後申告の前チェックリスト

  • 対象年の売上・経費を集計し、所得金額を確定した
  • 源泉徴収された金額(支払調書・取引記録)を集めた
  • 所得控除(基礎控除・社会保険料控除・各種控除)の証明書をそろえた
  • 正しい所得税額を再計算した(会計ソフトや手取り計算で確認)
  • 還付になるか・納付になるかを把握した
  • 納付になる場合、本税・無申告加算税・延滞税の資金を見込んだ
  • 提出方法(e-Tax・郵送・窓口)を決めた

遅れた年の集計は手作業だと大変ですが、会計ソフトに取引を取り込めば、所得税額の計算から申告書の作成までまとめて進められます。経費にできるかどうかはフリーランスの経費一覧チェックリスト、科目の分け方は勘定科目の選び方も参考にしてください。納付になりそうな額の目安は、下のツールで先に試算できます。

手取り計算ツールで税額の目安を確認(無料)売上と経費を入れると、税金・保険料を引いた手取りと所得税額の目安がわかる

よくある質問

確定申告をしないと必ずペナルティがかかりますか?

納める税金がある場合は、無申告加算税や延滞税の対象になることがあります。一方、源泉徴収などで税金を払いすぎていて還付になるケースでは、納める税金がないため無申告加算税・延滞税はかかりません。ただし申告しないと還付金も戻らないので、いずれにしても早めの申告が有利です。

無申告加算税はどのくらいかかりますか?

国税庁によると、令和5年分以降は、税務調査の通知より前に自主的に期限後申告すれば一律5%です。調査の通知後〜決定を予知する前は、納める税額のうち50万円まで10%・50万円超300万円以下15%・300万円超25%、調査を受けてからは50万円まで15%・50万円超300万円以下20%・300万円超30%と段階的に重くなります。早く自分から申告するほど軽くなります。

申告の遅れに気づいたら、加算税を避ける方法はありますか?

法定申告期限から1か月以内に自主的に期限後申告し、納めるべき税額の全額を法定納期限までに納めているなど期限内申告の意思があったと認められ、かつ過去5年間に無申告加算税・重加算税を課されていない、という要件をすべて満たすと無申告加算税は課されません。遅れに気づいたら、まずこの『1か月以内』を意識して動くとよいです。

延滞税はいつから・どのくらいかかりますか?

延滞税は法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかります。令和8年中は、納期限の翌日から2か月までが年2.8%、2か月を超えると年9.1%(いずれも特例で軽減された割合)です。2か月を境に割合が上がり、日割りで増えていくため、納付が遅れるほど金額がふくらみます。

青色申告ですが、期限に遅れると控除はどうなりますか?

青色申告特別控除の55万円・65万円は期限内申告が要件のため、期限後申告になると控除額は10万円まで下がります。たとえば65万円控除を受けられるはずだった人は差額の55万円分の控除を失い、その分だけ課税される所得が増えます。加算税・延滞税に加えてこの差も生じるため、期限内の申告がより大切になります。