フリーランスの住宅ローン|収入証明は何が必要?納税証明書の取り方
住宅ローンを申し込むとき、会社員なら源泉徴収票を出せば済みますが、フリーランス・個人事業主は別の書類で「いくら稼いでいるか」を証明する必要があります。求められるのは主に確定申告書の控えと、税務署や市区町村が発行する所得・納税の証明書です。この記事では、どの書類を・どこで・いくらで・いつ取れるのかを整理します。
フリーランスが求められやすい収入証明書類
住宅ローンの審査では「安定して所得があるか」「税金の未納がないか」が見られます。フリーランスの場合、これを確かめるために次のような書類の提出を求められることが一般的です。直近2〜3期分をまとめて求められることが多いのが、会社員との大きな違いです。
| 書類 | 発行元 | 主に証明する内容 |
|---|---|---|
| 確定申告書の控え | 自分で保管(e-Taxは受信通知) | 売上・所得・各種控除の申告内容 |
| 納税証明書(その1) | 税務署(国税) | 申告所得税の納税額・未納額など |
| 納税証明書(その2) | 税務署(国税) | 所得金額 |
| 課税(所得)証明書 | 市区町村 | 前年の所得額・住民税額 |
| 源泉徴収票 | 支払元(給与がある場合) | 給与の収入・源泉徴収税額 |
①確定申告書の控え|まず手元の控えを確認
最も基本になるのが、毎年提出している確定申告書の控えです。直近2〜3年分を求められることが多いため、過去分も含めて手元にあるか確認しておきます。
- e-Taxで申告した場合: 申告データ(控え)と、送信が受理されたことを示す受信通知(メッセージボックスの「受信通知」)をセットで求められることがあります
- 書面で提出した場合: 税務署の収受日付印が押された控えが求められることがあります(窓口提出時に控えにも押印してもらう運用が一般的でした)
- 控えを紛失した場合: 税務署で「申告書等の閲覧」や、保有個人情報の開示請求で内容を確認できる場合があります。再取得には時間がかかるため早めに動くと安心です
②納税証明書(国税)|税務署で取る
納税証明書は税務署(国税)が発行する書類で、用途に応じて「その1〜その4」があります。住宅ローンでは、所得税の納税額を示す「その1」と、所得金額を示す「その2」を求められることが多いです。
| 種類 | 証明する内容 |
|---|---|
| その1 | 納付すべき税額・納付した税額・未納税額などの証明 |
| その2 | 所得金額の証明 |
| その3 | 未納の税額がないことの証明 |
| その4 | 証明を受けようとする期間に滞納処分を受けたことがないことの証明 |
取り方|窓口・郵送・オンライン(e-Tax)
- 税務署の窓口: 交付請求書に必要事項を記入し、本人確認書類を提示して請求します
- 郵送: 交付請求書・手数料分の収入印紙(または現金書留)・本人確認書類の写し・返信用封筒を送って請求します
- オンライン(e-Tax): マイナンバーカード等の電子証明書があれば、e-Taxで請求できます。書面の受取のほか、電子データ(PDF)での交付も選べます
| 請求方法 | 手数料(1枚あたり) |
|---|---|
| 書面(窓口・郵送) | 400円(税目数×年度数) |
| e-Taxによるオンライン請求 | 370円(税目数×年度数) |
③課税(所得)証明書|市区町村で取る
課税証明書・所得証明書は、お住まいの市区町村が発行する書類で、前年の所得額や住民税額が記載されます。名称や記載項目は自治体によって異なり、「課税証明書」「所得証明書」「課税(所得)証明書」などと呼ばれます。
- 窓口: 市区町村役所・支所の窓口で請求します
- 郵送: 申請書・手数料分の定額小為替・本人確認書類の写し・返信用封筒で請求できる自治体が多いです
- コンビニ交付: マイナンバーカードがあれば、コンビニのマルチコピー機で取得できる自治体があります(窓口より手数料が安い場合があります)
手数料は自治体によって異なり、1通あたりおおむね300円前後が目安です(マイナンバーカードでのコンビニ交付だと200円程度になる自治体もあります)。正確な金額・取得方法はお住まいの市区町村のホームページで確認してください。
いつ取れる?|住民税の通知後でないと最新年度が出ない
課税(所得)証明書は、前年の所得が住民税額として確定してから発行されます。普通徴収(自分で納付)のフリーランスは、住民税の納税通知書が届く6月以降に最新年度分が取得できるようになるのが一般的です。新年度の証明書が必要な場合、申込のタイミングに注意してください。
| 区分 | 取得できる時期の目安 |
|---|---|
| 特別徴収(給与から天引き) | 5月中旬ごろ〜 |
| 普通徴収(自分で納付=多くのフリーランス) | 6月10日ごろ〜 |
審査で見られやすいポイント(一般論)
審査基準は金融機関ごとに非公開で、ここで合否を断定することはできません。一般論として、フリーランスでは次のような点が確認されやすいといわれます。
- 所得の水準と安定性: 売上ではなく、経費を引いた後の所得金額で見られることが多いです。年によって変動が大きい場合、複数年の平均で評価されることもあります
- 継続年数: 開業から一定の年数(例: 2〜3期分の申告実績)を求められることがあります
- 税金の未納の有無: 納税証明書で未納がないかを確認されます。住民税・国民健康保険料の滞納も影響することがあります
- 申告内容との整合: 確定申告書の所得と、納税証明書・課税証明書の所得が一致していることが前提です
準備チェックリスト
- 申込先の金融機関に必要書類・対象年分(直近何期分か)を確認した
- 確定申告書の控え(e-Taxは受信通知もセット)を直近2〜3年分そろえた
- 納税証明書(その1・その2)を、必要な年分だけ税務署またはe-Taxで請求した
- 課税(所得)証明書を市区町村で取得した(最新年度が出る時期かも確認)
- 国税・住民税・国民健康保険料に未納がないことを確認した
- 給与収入もある場合は源泉徴収票も用意した
住宅ローンの収入証明は、結局のところ「毎年きちんと確定申告をしてきたか」が土台になります。申告内容と納税の記録が整っているほど、必要書類をそろえるのもスムーズです。申告の流れは確定申告の流れ、所得の手取りイメージは手取り計算ツールで確認できます。日々の記帳をクラウド会計ソフトでまとめておくと、確定申告書の控えや所得の根拠、複数年分の推移もすぐに取り出せ、金融機関に求められる直近2〜3期分の書類を慌てずそろえられます。
よくある質問
住宅ローンの収入証明として、確定申告書だけで足りますか?
金融機関によります。確定申告書の控えに加えて、内容を公的に裏づける納税証明書(その1・その2)や課税(所得)証明書をあわせて求められることが一般的です。必要書類は申込先によって異なるため、事前に必ず確認してください。
納税証明書の「その1」と「その2」はどう違いますか?
その1は納付すべき税額・納付した税額・未納額などを証明し、その2は所得金額を証明する書類です(国税庁)。住宅ローンでは納税状況と所得の両方を確認するため、両方を求められることがあります。
納税証明書の手数料はいくらですか?
2026年6月時点で、書面(窓口・郵送)は1枚あたり400円、e-Taxによるオンライン請求は1枚あたり370円です。手数料は「税目1つ・年度1つ」を1枚として数えるため、必要な年分・税目の数だけかかります。最新の金額は国税庁でご確認ください。
課税(所得)証明書はいつから今年分を取れますか?
前年の所得が住民税として確定してから発行されます。自分で納付する普通徴収のフリーランスは、住民税の通知が届く6月10日ごろ以降に最新年度分が取得できるのが一般的です。時期は自治体により前後するため、市区町村に確認してください。
経費を多く計上して所得を抑えていると、住宅ローンに不利ですか?
審査では所得金額が見られるため、所得が少ないと借入可能額が小さく評価されることがあります。借入を予定している場合は、事実に基づく適正な申告を前提に、所得の見え方を申告段階から意識しておくとよいでしょう。合否の判断は金融機関ごとに異なります。