青色申告と白色申告の違い

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。結論から言うと、継続的に事業をするなら青色申告が有利になるケースが大半です。違いを比較表で整理し、移行の手順まで解説します。

青色申告と白色申告のどちらが自分に合うかは、「記帳にかける手間」と「受けられる控除やメリット」のバランスで考えると整理しやすくなります。手間を惜しんで白色のままにすると、控除や赤字の繰り越しといった節税の機会を逃しやすくなります。逆に、会計ソフトで日々の記帳を自動化できるなら、青色にともなう手間はほとんど気にならない水準まで下がり、得られるメリットのほうが上回りやすい——これが選び方の基本的な考え方です。

比較表: 青色申告と白色申告

青色申告と白色申告の比較
項目青色申告(65万円控除)青色申告(10万円控除)白色申告
特別控除65万円(e-Tax申告または電子帳簿保存が条件、紙提出は55万円)10万円なし
記帳方法複式簿記簡易簿記簡易な記帳
事前申請必要必要不要
赤字の繰越3年間繰り越せる3年間繰り越せる原則できない
家族への給与青色事業専従者給与(届出額まで全額経費)同左事業専従者控除(配偶者86万円・その他50万円まで)
少額な備品(取得価額30万円未満。令和8年4月1日以後の取得分は40万円未満)一括で経費にできる特例あり(年合計300万円まで)同左10万円以上は原則減価償却
比較表の内容は国税庁タックスアンサーで確認できます。No.2072(青色申告特別控除)では、55万円控除の要件(事業を営んでいること・複式簿記による記帳・貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告)に加えて、e-Taxによる申告または優良な電子帳簿の要件を満たす電子帳簿保存を行っている場合に65万円控除になるとされています。また、白色申告にも記帳・帳簿保存の義務があり、No.2080では収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)は7年間、請求書・領収書などの書類は5年間保存することとされています。「白色なら帳簿がいらない」わけではない点に注意しましょう。

65万・55万・10万——どの控除になるかは要件で決まる

青色申告特別控除の額と要件
控除額満たす要件
65万円55万円の要件に加えて、e-Taxで申告するか、優良な電子帳簿の要件を満たす電子帳簿保存を行っていること
55万円複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付して、申告期限内(原則3月15日)に提出すること
10万円上記(55万円・65万円)の要件を満たさない青色申告者。簡易簿記でも受けられます
  • 事前に青色申告承認申請書を提出している
  • 複式簿記で日々記帳している(会計ソフトを使えば自動)
  • 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付する
  • 申告期限(原則3月15日)内に提出する
  • e-Taxで申告する、または優良な電子帳簿の電子保存を行っている

「複式簿記」は1つの取引を借方・貸方の両面から記録する方法で、簿記の知識がないと手作業では難しいものです。ただし現在はクラウド会計ソフトが銀行・カードの明細から自動で複式簿記の帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)や貸借対照表を作成するため、実務上のハードルは大きく下がっています。

65万円控除でどれくらい得になる?(所得別の早見表)

結論から言うと、65万円の青色申告特別控除で軽くなる税金は、65万円 ×(所得税の税率+住民税10%)が目安です。所得税率は課税される所得金額によって5〜45%と変わるため、同じ65万円控除でも所得が高い人ほど効果が大きくなります。フリーランス・個人事業主に多い所得帯で、所得税+住民税がどれだけ軽くなるかを表にしました。

65万円控除による所得税+住民税の軽減額の目安(課税所得別)
課税される所得金額所得税率所得税+住民税の合計税率65万円控除による軽減額の目安
195万円以下5%約15%約9.8万円
195万円超〜330万円以下10%約20%約13万円
330万円超〜695万円以下20%約30%約19.5万円
695万円超〜900万円以下23%約33%約21万円
軽減額は「65万円 ×(所得税率+住民税10%)」で計算した概算で、分かりやすさのため復興特別所得税(所得税額の2.1%)を省いています。所得税率は課税される所得金額に応じた7段階(5〜45%、国税庁 No.2260)、住民税の所得割は標準税率で一律10%です。さらに青色申告特別控除は所得税・住民税だけでなく国民健康保険料の算定基礎(所得)も下げるため、たとえば所得税率10%の人なら国保分を含めて年20万円前後の負担減になるケースもあります。実際の差額は手取りシミュレーターで申告方法を切り替えると確認でき、65万円控除の要件である複式簿記の記帳を自動化するなら会計ソフトの比較も参考になります。

控除以外にもある、青色申告の主なメリット

青色申告特別控除以外の主なメリット
メリット内容
純損失の繰越控除その年の赤字(純損失)を翌年以後3年間繰り越し、黒字の年の所得と相殺できます(No.2070)。開業初期の赤字を後年の節税に使えます
青色事業専従者給与生計を一にする家族に払う給与を、届け出た範囲で全額必要経費にできます。白色の事業専従者控除(配偶者86万円・その他の親族50万円が上限)より有利です(No.2075)
少額減価償却資産の特例取得価額30万円未満(令和8年4月1日以後の取得分は40万円未満)の資産を、年間合計300万円まで一括で経費にできます(No.2100ほか)
貸倒引当金売掛金などの貸倒れに備えて、一定額をあらかじめ経費に計上できます

青色申告を始める手順

  1. 「青色申告承認申請書」を税務署に提出 — 適用したい年の3月15日まで(1月16日以降に開業した場合は開業から2か月以内)
  2. 開業したばかりの人は「開業届」と同時に出すのが定番
  3. 複式簿記での記帳を開始 — 会計ソフトを使えば簿記の知識がなくても複式簿記の帳簿が自動で作られます
  4. 確定申告時に青色申告決算書を添付し、65万円控除を受けるならe-Taxで申告
申請期限を過ぎた年は青色申告できません(その年は白色になります)。「来年から青色にしよう」と思っている方は、忘れないうちに申請書だけでも出しておくのがおすすめです。

青色申告承認申請書の提出期限

状況別・青色申告承認申請書の提出期限
状況提出期限
すでに事業をしている(継続)青色にしたい年の3月15日まで
その年の1月16日以後に新規開業した開業日から2か月以内

たとえば2026年(令和8年)分から青色申告にしたい継続事業者は、2026年3月15日までに申請書を提出しておく必要があります。期限を過ぎるとその年は青色申告にできず白色申告になります。開業したばかりの人は開業届と同時に出しておくと確実です。年間の申告の流れは確定申告 完全ガイドで確認できます。

よくある質問

青色申告の65万円控除を受ける条件は?

①事前に青色申告承認申請書を提出している、②複式簿記で記帳している、③貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告する、④e-Taxで申告するか電子帳簿保存を行っている、の4つです。紙で提出する場合は55万円控除になります。

青色申告は難しいですか?

複式簿記と聞くと身構えますが、現在はクラウド会計ソフトが銀行・カード明細から自動で複式簿記の帳簿を作るため、手作業で仕訳を書く場面はほとんどありません。簿記の知識がなくても実務上は対応できます。

白色申告にメリットはありますか?

事前申請が不要で記帳がより簡単という手軽さがあります。事業所得が少ない、単発・一時的な収入だけ、といった場合には白色のままでも大きな不利はありません。

今からでも今年分を青色申告にできますか?

その年の3月15日まで(1月16日以降の開業なら開業から2か月以内)に申請書を出していれば可能です。期限を過ぎている場合、今年分は白色申告になり、来年分から青色申告が適用されます。

65万円控除と55万円控除は何が違いますか?

帳簿づけ(複式簿記)や貸借対照表の添付などの要件は同じで、違いは申告方法です。e-Taxで電子申告するか、優良な電子帳簿の要件を満たす電子帳簿保存を行っていれば65万円、紙で提出する場合は55万円になります。

赤字でも青色申告する意味はありますか?

あります。青色申告なら純損失(赤字)を翌年以後3年間繰り越し、黒字になった年の所得と相殺して税負担を減らせます。開業初期に赤字が出やすい人ほど、青色申告の届出をしておく価値があります。

フリーランスは青色申告にした方が得ですか?

継続して事業を行うフリーランス・個人事業主なら、青色申告が有利になるケースが大半です。65万円控除だけでも所得税+住民税で、課税される所得金額が195万円以下の人で約9.8万円、330万円超695万円以下の人なら約19.5万円の軽減になります(国民健康保険料の軽減分は別)。赤字の3年繰越や家族への給与の経費算入といったメリットもあり、会計ソフトを使えば複式簿記の負担も大きく下がります。

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