国民健康保険料の計算方法

会社員の健康保険と違って労使折半がないため、フリーランスの国民健康保険(国保)は思った以上に重い負担になります。仕組みを知らないと「想定外の請求が来た」となりがちです。この記事では計算の仕組みと目安額を整理します。

国保の保険料は4つの部分でできている

国民健康保険料の構成(東京23区・令和8年度の例)
区分対象所得割(目安)均等割(目安)上限(賦課限度額)
医療分全員7.51%47,600円67万円
後期高齢者支援金分全員2.80%17,600円26万円
子ども・子育て支援金分全員(令和8年度〜)0.27%1,873円3万円
介護分40〜64歳のみ2.43%17,800円17万円

料率は東京23区(令和8年度)の例で、自治体によって大きく異なります(同じ所得でも年数万円単位の差が出ます)。お住まいの市区町村のサイトで「国民健康保険料 計算」と検索して確認してください。

計算式

  1. 算定基礎額 = 前年の総所得金額(事業所得なら売上−経費−青色申告特別控除) − 43万円
  2. 区分ごとに「算定基礎額 × 所得割率 + 均等割額」を計算(上限あり)
  3. 全部を合計したものが年間保険料
国保の計算では配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除などは引けません。引けるのは基礎控除に相当する43万円だけです。所得税より「課税ベースが広い」のが国保が重く感じる理由です。

計算例: 所得400万円・35歳・単身の場合

  • 算定基礎額: 400万円 − 43万円 = 357万円
  • 医療分: 357万 × 7.51% + 47,600円 ≒ 315,700円
  • 支援金分: 357万 × 2.80% + 17,600円 ≒ 117,500円
  • 子育て支援金分: 357万 × 0.27% + 1,873円 ≒ 11,500円
  • 年間合計 ≒ 約44.5万円(月あたり約3.7万円)

所得別の国保料 早見表(単身・40歳未満)

同じ計算式で所得を変えて試算すると、おおよそ次のようになります。介護分(40〜64歳)が加わるとこれより1割強上乗せされ、扶養家族の均等割も人数分加算されます。あくまで東京23区・令和8年度の料率での目安で、自治体により差が出ます。

国民健康保険料の目安(東京23区・令和8年度/単身・40歳未満・軽減なし)
前年の所得(売上−経費−青色控除)年間保険料の目安月あたり
200万円約23.3万円約1.9万円
300万円約33.9万円約2.8万円
400万円約44.5万円約3.7万円
500万円約55.1万円約4.6万円
600万円約65.6万円約5.5万円
700万円約76.2万円約6.4万円

上表は当サイトの手取りシミュレーターと同じ計算エンジンで算出した概算です(データ基準日: 2026-07-02)。売上・経費・介護分の有無を入れた自分のケースは下のツールで試算できます。

自分の国保・税金込みの手取りを計算する売上と経費を入れるだけで国保・年金・税金を一括試算

均等割の軽減制度(7割・5割・2割)

前年の所得が低い世帯は、申請しなくても均等割が自動で軽減されます(所得割はこの軽減の対象外です)。開業1年目や売上が伸びなかった年は、この軽減で保険料がかなり下がることがあります。判定は「世帯の総所得金額等」で行い、7割・5割・2割の3段階です。

均等割の軽減判定(東京23区・令和8年度/国保加入者1人の世帯の例)
軽減割合世帯の総所得金額等の基準加入者1人なら
7割軽減43万円 以下43万円以下
5割軽減43万円 + 31万円 × 加入者数 以下74万円以下
2割軽減43万円 + 57万円 × 加入者数 以下100万円以下
軽減は申請不要で自動適用されます(練馬区「均等割額の減額」より。令和8年度の加算額は5割が31万円、2割が57万円)。ただし所得を確定申告または住民税申告で申告していないと判定できず、軽減が受けられないことがあるため、所得ゼロや赤字の年でも申告は済ませておきましょう。給与所得者等が世帯に2人以上いる場合は、各基準に「10万円×(給与所得者等の数−1)」が加算されます。

計算例: 単身・前年の総所得60万円のフリーランス

  • 5割軽減の基準(43万円+31万円=74万円)以下なので、均等割が5割軽減
  • 均等割の年額(医療47,600円+支援17,600円+子育て1,873円=67,073円)が半額の約33,500円に(約33,500円の軽減)
  • 所得割は軽減対象外だが、課税のもとが小さいため合計負担も小さくなる

国保を抑える方法

  • 青色申告にする — 65万円控除はそのまま国保の算定基礎を下げます(青色と白色の違い)。65万円控除には複式簿記が要件で、対応する会計ソフトを比較して選ぶと記帳のハードルが下がります
  • 経費の計上漏れをなくす経費チェックリストで確認
  • 低所得時は軽減制度 — 所得が一定以下なら均等割が7割・5割・2割軽減されます(申請不要、申告が必要)
  • 文芸美術国民健康保険組合など国保組合 — 対象業種なら保険料が定額のため、所得が高い人は有利になることがあります
  • 法人化して協会けんぽに加入 — 所得が大きい場合の選択肢(法人化の目安

なお、支払った国保保険料は全額が社会保険料控除として所得税・住民税の計算で控除されます。確定申告で忘れずに記載しましょう。

よくある質問

フリーランスの国民健康保険料は月いくらくらいですか?

所得(売上−経費−青色控除)によって変わります。東京23区の令和8年度料率の目安では、所得200万円で月約1.9万円、400万円で月約3.7万円、600万円で月約5.5万円程度です(40歳未満・単身・軽減なし)。自治体により金額は異なり、40〜64歳は介護分が上乗せされます。

国民健康保険料に上限はありますか?

あります。賦課限度額と呼ばれ、東京23区の令和8年度では医療分67万円+支援金分26万円+子育て支援金分3万円+介護分17万円の合計で年間最大113万円(40〜64歳)です。

開業1年目の国保はどうなりますか?

国保は前年の所得をもとに計算されるため、開業1年目は前年(会社員時代など)の所得で計算されます。退職直後は任意継続(退職前の健康保険を最大2年継続)と国保のどちらが安いか比較するのがおすすめです。国保・任意継続・国保組合の選び方は[フリーランスの保険の整理](/guide/hoken-seiri/)で詳しく比較しています。

国民健康保険料は経費になりますか?

経費にはなりませんが、全額が社会保険料控除として所得控除の対象になります。事業の経費ではなく、確定申告書の所得控除欄に記載します。