消費税の確定申告のやり方|個人事業主の期限(3月31日)・計算方式・納付方法

インボイス登録や売上増で課税事業者になると、所得税とは別に消費税の確定申告が必要になります。初めてだと「所得税と何が違うのか」「いつまでに何をするのか」が分かりにくいところです。この記事では、個人事業主の消費税申告の期限・計算方式の選び方・申告書の作り方・納付方法を、国税庁の情報をもとに順番に整理します。

まず確認:自分は消費税の申告が必要か

消費税の確定申告が必要なのは課税事業者だけです。次のいずれかに当てはまる人が対象になります。

  • インボイス(適格請求書発行事業者)に登録している(売上金額にかかわらず、登録している間は課税事業者として申告が必要)
  • 基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えた
  • 特定期間(前年の1月1日〜6月30日)の課税売上高が1,000万円を超えた(給与等の支払額で判定することも可能)

どれにも当てはまらない免税事業者は、消費税の申告は不要です(所得税の確定申告は別途必要です)。課税・免税の判定フローは消費税を納めるのは誰?課税・免税事業者の判定で詳しく解説しています。売上1,000万円を超えそうな人は課税事業者になる準備と流れもあわせてどうぞ。

申告・納付の期限は「翌年3月31日」(所得税より遅い)

国税庁は、消費税の確定申告・納付の期限を「課税期間の終了の日の翌日から2か月以内」とし、個人事業者の12月31日の属する課税期間については翌年3月31日までに延長しています。所得税の期限(原則3月15日)とは別の日付なので、混同しないよう注意してください。

個人事業主の確定申告期限の違い
税目申告・納付期限(原則)
所得税(+復興特別所得税)翌年3月15日
消費税・地方消費税翌年3月31日
申告書は、消費税と地方消費税をあわせて1つの申告書で提出します。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税の対象になり得る点は所得税と同じです(無申告のペナルティ)。

納付税額の計算方式は3つ|どれで計算するかを先に決める

申告書を作る前に、自分がどの方式で消費税を計算するのかを確認します。方式によって集計する資料も税額も変わるためです。

消費税の計算方式の比較(個人事業主)
方式計算のイメージ主な条件
2割特例売上にかかる消費税 × 2割を納付インボイスを機に免税→課税になった人。事前届出不要。令和5年10月1日〜令和8年9月30日を含む課税期間まで(個人は令和8年分=2026年分が最後
簡易課税売上にかかる消費税 − 売上にかかる消費税 × みなし仕入率基準期間の課税売上高5,000万円以下。前年末までに選択届出書の提出が必要(原則)
原則課税(本則課税)売上にかかる消費税 − 仕入・経費で支払った消費税条件なし。仕入・経費の消費税を1件ずつ集計し、インボイスの保存が前提

インボイスをきっかけに課税事業者になった人は、まず2割特例が使えるかを確認するのが近道です。事前の手続きなしで、申告のときに選べます。簡易課税のみなし仕入率や有利判定は簡易課税制度の仕組みと選び方で整理しています。

2割特例の適用期間は「令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間」と定められています(国税庁タックスアンサー)。個人事業主は令和8年分(2026年分)の申告=2027年3月末が最後の適用機会になります。それ以降の方式(簡易課税を選ぶかどうか)は、期限内の届出が必要になるため早めに検討しておきましょう。

申告書の作り方は2通り

① 国税庁「確定申告書等作成コーナー」で作る

国税庁の確定申告書等作成コーナーでは、所得税だけでなく消費税及び地方消費税の申告書も作成できます。画面の案内に沿って売上などの金額を入力すると税額が自動計算され、そのままe-Taxで送信できます(印刷して郵送も可能です)。2割特例・簡易課税・原則課税のいずれにも対応しています。e-Taxの事前準備はe-Taxで確定申告する手順を参考にしてください。

② 会計ソフトの消費税申告機能で作る

日々の記帳を会計ソフトで行っている場合は、ソフトの消費税申告機能を使うほうが手早いことが多いです。取引ごとの税区分(10%・軽減8%・非課税など)が記帳時に記録されていれば、申告書の集計はほぼ自動で終わり、e-Tax送信まで完結できます。ただし消費税申告機能が使えるプランはソフトによって異なるため、消費税申告に対応した会計ソフトの比較で自分のプランが対応しているかを確認しておくと安心です。

申告までの流れ(5ステップ)

  1. 計算方式を決める(2割特例が使えるか→簡易課税の届出を出しているか→原則課税、の順に確認)
  2. 1年分の課税売上を税率ごとに集計する(標準10%・軽減8%の区分。原則課税なら仕入・経費側も集計)
  3. 申告書を作成する(確定申告書等作成コーナー、または会計ソフトの消費税申告機能)
  4. 3月31日までに申告する(e-Tax送信または書面提出)
  5. 3月31日までに納付する(納付方法は次章。振替納税なら口座引き落とし)

消費税の計算ツールを使う(無料)税抜⇄税込・8%/10%・端数処理に対応。売上にかかる消費税の目安を確認できます

納付方法一覧|振替納税は消費税でも使える

国税の納付方法は複数あり、どれを使ってもかまいません。国税庁の案内では次の方法が挙げられています。

消費税の主な納付方法(国税庁の案内より)
方法概要
振替納税預貯金口座からの自動引き落とし。事前に振替依頼書の提出が必要。所得税と個人事業者の消費税で利用可
ダイレクト納付e-Taxから届出済み口座で即時または期日指定で納付
インターネットバンキング納付ネットバンキングやATM(ペイジー)から納付
クレジットカード納付専用サイトから納付(決済手数料がかかる)
スマホアプリ納付Pay払い(○○ペイ)で納付
コンビニ納付QRコード等を使ってコンビニで納付
窓口納付金融機関や税務署の窓口で現金納付

振替納税は、期限内に申告した確定申告分・中間申告分が対象で、法定納期限より後の振替日に口座から引き落とされます(振替日は毎年国税庁が公表します)。残高不足だと振替できず延滞税の対象になり得るため、口座残高だけは確認しておきましょう。

納税額が大きくなったら「中間申告」がある

前年の確定消費税額(地方消費税を含まない国税分の年税額)が48万円を超えると、翌年は中間申告・中間納付が必要になります。国税庁の区分は次のとおりです。

消費税の中間申告の回数(直前の課税期間の確定消費税額による)
前年の確定消費税額(国税分)中間申告の回数
48万円以下不要(任意の中間申告制度あり)
48万円超〜400万円以下1回(前年の税額の1/2相当)
400万円超〜4,800万円以下3回
4,800万円超11回

中間納付した分は、確定申告のときに年間の税額から差し引いて精算します。所得税にも同様の前払い制度(予定納税)があり、仕組みは予定納税とはで解説しています。

消費税の確定申告チェックリスト

  • 自分が課税事業者かどうかを確認した(インボイス登録・基準期間1,000万円超など)
  • 計算方式(2割特例/簡易課税/原則課税)を決めた
  • 課税売上を税率ごと(10%・軽減8%)に区分して集計した
  • 原則課税の場合、仕入・経費側のインボイス(適格請求書)を保存している
  • 3月31日までに申告・納付する段取りを組んだ(所得税の3月15日と別)
  • 納付方法を決めた(振替納税は事前の振替依頼書が必要)
  • 納税資金を確保した(売上と一緒に入金された消費税分を使い切らない)
この記事の期限・基準額は国税庁の公表情報(タックスアンサー等)に基づいています。個別のケースでどの方式が有利か、納税額がいくらになるかは状況によって異なるため、判断に迷う場合は所轄の税務署または税理士に確認してください。

よくある質問

消費税の確定申告の期限はいつですか?

個人事業主の場合、原則として翌年3月31日です。国税庁は課税期間終了の翌日から2か月以内としつつ、個人事業者の12月31日の属する課税期間については3月31日まで延長しています。所得税の期限(原則3月15日)とは異なるので注意してください。

所得税の確定申告をすれば、消費税の申告もしたことになりますか?

なりません。所得税と消費税は別の申告書で、それぞれ提出が必要です。確定申告書等作成コーナーや会計ソフトでは、所得税の申告書とあわせて消費税の申告書も作成できます。

インボイスに登録した年から、消費税の申告が必要ですか?

はい。適格請求書発行事業者に登録している間は、売上金額にかかわらず課税事業者として消費税の確定申告が必要です。インボイスを機に免税事業者から課税事業者になった人は、2割特例(売上にかかる消費税の2割を納付)を事前届出なしで選べる場合があります。

2割特例はいつまで使えますか?

適用できるのは令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間です。課税期間が暦年の個人事業主は、令和8年分(2026年分)=2027年3月末に申告する分が最後になります。その後の計算方式(簡易課税を選ぶかどうか)は届出期限があるため早めの検討が必要です。

消費税の中間申告はいくらから必要ですか?

直前の課税期間の確定消費税額(地方消費税を含まない国税分)が48万円を超えると必要になります。48万円超〜400万円以下は年1回、400万円超〜4,800万円以下は年3回、4,800万円超は年11回です。48万円以下でも任意の中間申告制度があります。

納付はどんな方法がありますか?

振替納税(口座引き落とし・要事前手続き)、ダイレクト納付、インターネットバンキング納付、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付、金融機関・税務署の窓口納付があります。振替納税は所得税と個人事業者の消費税で利用でき、期限内申告分が対象です。