付加年金とは|月400円で年金を増やす仕組みと国民年金基金との関係

フリーランスや個人事業主(国民年金第1号被保険者)は、会社員のような厚生年金がないぶん、将来の年金が老齢基礎年金だけになりがちです。その上乗せをつくる方法のひとつが付加年金です。付加保険料は月額わずか400円。仕組みがシンプルで、受け取り始めてから2年で元が取れるのが特徴です。ただし国民年金基金とは同時に使えないなど、知っておきたいルールもあります。順番に整理します。

本記事の数値(付加保険料 月額400円、付加年金額=年額200円×納付月数、対象は第1号被保険者・任意加入被保険者、国民年金基金との同時加入不可)は日本年金機構の公表値に基づきます(2026年6月時点)。付加年金は物価による増減のない定額給付です。個別の手続きはお住まいの市区町村の国民年金窓口・年金事務所でご確認ください。

付加年金の仕組み(月400円→年額200円×納付月数)

国民年金の定額保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納めると、将来の老齢基礎年金に付加年金が上乗せされます。受け取れる金額(年額)は次の式で決まります。

付加年金の基本
項目内容
付加保険料(支払う額)月額400円
付加年金額(もらえる額・年額)200円 × 付加保険料を納めた月数
対象者国民年金第1号被保険者・任意加入被保険者
給付の性質定額(物価による増減なし)

ポイントは、1か月納めるごとに、もらえる年金が「年額200円」ずつ増えることです。月400円を払って増える年金は年200円。つまり払った額の半分が、毎年もらえる計算になります。

「2年で元が取れる」とはどういうことか

1か月分の付加保険料は400円。これに対し、増える付加年金は年額200円です。年金を2年受け取れば400円となり、納めた付加保険料と同額に達します。3年目以降に受け取る分はすべて上乗せです。老齢基礎年金は終身で受け取れるため、長生きするほど得になります。

納付期間別の試算(あくまで概算。実際は納付月数で決まります)
付加保険料を納めた期間支払った付加保険料の総額増える付加年金(年額)受給開始から元が取れるまで
10年(120月)48,000円24,000円約2年
20年(240月)96,000円48,000円約2年
40年(480月)192,000円96,000円約2年
上の総額は「月400円×納付月数」、年額は「200円×納付月数」で計算した概算です。納付月数が同じであれば、いつ納めても増える年金額は変わりません。なお付加年金は定額で、老齢基礎年金のような物価スライドはありません。

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誰が使える?(対象者と申し込み)

付加年金を使えるのは、国民年金の第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生など)と、65歳未満の任意加入被保険者です。会社員などの第2号被保険者や、その扶養に入る第3号被保険者は対象外です。申し込みは市区町村の国民年金窓口で行い、申し込んだ月分から納付が始まります。

  • 申し込み先は、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口(年金事務所でも相談可)。電子申請も利用できる
  • 持ち物の目安: 基礎年金番号がわかるもの(年金手帳・通知書など)、本人確認書類
  • 付加保険料の納付は申し込んだ月分から始まる(さかのぼっての加入はできない)
  • 毎月の納付期限は翌月末日。過ぎても2年以内であれば納めることができる
  • やめたいときは「辞退」の申し出をすればよい(その月以降は納めない扱いになる)
国民年金保険料を免除・納付猶予されている期間は、原則として付加保険料を納められません。保険料が払えずに免除等を検討している場合は、まず国民年金が払えないときの免除・納付猶予を確認してください。

国民年金基金とは同時に使えない

見落としやすいのが、付加年金と国民年金基金は同時に加入できないというルールです。国民年金基金には付加年金に相当する部分があらかじめ含まれているため、二重には使えません。すでに国民年金基金に加入している方は付加保険料を納められず、逆に付加保険料を納めている方が国民年金基金に加入すると、付加保険料の納付はできなくなります。

上乗せ制度の使い分け(同時利用の可否)
組み合わせ同時利用メモ
付加年金 + 国民年金基金不可どちらか一方を選ぶ
付加年金 + iDeCoただしiDeCoの拠出限度額と合算(後述)
国民年金基金 + iDeCo掛金を合算して限度額内

iDeCoとは併用できる(ただし限度額は合算)

付加年金とiDeCo(個人型確定拠出年金)は併用できます。ただし、第1号被保険者のiDeCoの拠出限度額(月68,000円)は、国民年金基金の掛金や付加保険料と合算した上限です。付加保険料(月400円)を納める場合、iDeCoの掛金は1,000円単位で設定するため、iDeCoの上限は実質的に月67,000円になります。どちらを優先するかは、所得控除のメリットや手元資金とのバランスで考えるとよいでしょう。

付加保険料も、国民年金保険料と同じく全額が社会保険料控除の対象です。iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象になります。控除の種類は異なりますが、いずれも所得控除として節税につながります。

iDeCoと小規模企業共済の優先順位で迷う場合は、こちらの比較も参考にしてください。

小規模企業共済とiDeCo、どちらを先に始めるかフリーランスの上乗せ年金・節税の優先順位を比較軸で整理

向いている人・確認したいこと

  • 少額から年金の上乗せを始めたい人: 月400円と負担が小さく、長生きするほど有利になる
  • 国民年金基金に未加入の第1号被保険者: 国民年金基金とは二者択一になるため、未加入なら付加年金を検討しやすい
  • 老齢基礎年金を繰下げ受給する予定の人: 付加年金も同じ率で増額されるため、上乗せ効果がさらに大きくなる(繰上げの場合は減額)
付加年金は「掛けた額に対する戻り」は大きい一方、月400円という金額の性質上、増える年金額そのものは大きくありません。まとまった老後資金づくりが目的なら、iDeCoや小規模企業共済と組み合わせて考えるのが現実的です。どの制度を優先するかは収入・年齢・他の備えによって変わるため、年金事務所等で確認のうえ判断してください。

よくある質問

付加年金は払った分をどれくらいで回収できますか?

付加保険料は月400円(1か月あたり)で、増える付加年金は1か月の納付につき年額200円です。年金を2年受け取ると400円となり、納めた付加保険料と同額になります。3年目以降に受け取る分はすべて上乗せになり、終身で受け取れるため長生きするほど有利です。

付加年金はいくらもらえますか?計算方法は?

付加年金額(年額)は「200円 × 付加保険料を納めた月数」で計算します。たとえば20歳から60歳までの40年(480月)納めた場合は、200円×480月=96,000円が年額として老齢基礎年金に上乗せされます。

付加年金と国民年金基金は両方使えますか?

両方を同時に利用することはできません。国民年金基金には付加年金に相当する部分が含まれているため、どちらか一方を選ぶ必要があります。すでに国民年金基金に加入している方は付加保険料を納められません。

付加年金とiDeCoは併用できますか?

併用できます。ただし第1号被保険者のiDeCoの拠出限度額(月68,000円)は付加保険料や国民年金基金の掛金と合算した上限です。付加保険料(月400円)を納める場合、iDeCoの掛金は1,000円単位のため、実質的な上限は月67,000円になります。

付加保険料は誰でも納められますか?

納められるのは国民年金の第1号被保険者(自営業・フリーランス・学生など)と65歳未満の任意加入被保険者です。会社員などの第2号被保険者やその扶養に入る第3号被保険者は対象外です。また保険料の免除・納付猶予を受けている期間は原則として納められません。