源泉徴収税の計算方法

原稿料・デザイン料・講演料など、フリーランスが法人から受け取る多くの報酬は、支払い時に源泉徴収として所得税が天引きされます。この記事では、源泉徴収税額の計算式と実務上の注意点を、計算例つきで整理します。

源泉徴収 計算・逆算ツールを使う(無料)金額を入れるだけ。手取りから請求額の逆算にも対応

請求額と振込額の差だけでは、源泉徴収された税額は確定できません。振込手数料、値引き、分割入金などが含まれる場合や、請求額がすでに源泉税を差し引いた金額の場合があるためです。請求書と支払明細を照合し、不明な差額は取引先に内訳を確認してから集計しましょう。

計算した源泉税と振込額が合わないときの確認順

入金差額の確認メモ(運営による実務整理)
確認するもの見分けるポイント
請求書の金額欄報酬総額と、源泉税を差し引いた請求額を区別する。差引後の金額から税を再び引かない
源泉税の計算条件対象となる報酬か、消費税を含めて計算しているか、端数処理が一致するかを確認する
支払明細と入金記録源泉税・手数料・相殺・未入金分を分ける。差額を税金や手数料と推測して埋めない

源泉徴収 計算・逆算ツールは、確認した報酬額と消費税の条件を入力して使います。国税庁の手取契約の計算方法は、税引き後の手取額で契約した場合のものです。通帳の入金額から、手数料や未入金分まで自動で判別できるわけではありません。年間の帳簿との照合は支払調書の確認方法へ進んでください。

源泉税の対象額、消費税の区分、税額の端数処理は国税庁 No.2795と照合しています(2026年9月12日確認)。上の表は差額の確認手順であり、取引先による手数料控除や値引きの適法性を判断するものではありません。

振込時の手取りと、年間で残るお金は別です

報酬から源泉徴収を引いた額は、税金・保険料をすべて払い終えた手取りではありません。1件の支払いを確認したいのか、年間の生活費の目安を知りたいのかで、使う計算を分けましょう。

知りたい手取りに合う計算の選び方
知りたいこと使う計算と注意点
報酬から源泉税を引くといくらか源泉徴収ツールの通常計算。報酬額・消費税の条件を合わせる。年間の税負担は確定しない
源泉徴収後に希望額を受け取るには同ツールの逆算。源泉税を引いた手取額で契約する場合の計算で、年間の生活費からの逆算ではない
年間の売上からどれだけ残るか手取りシミュレーターで売上・経費から税金と社会保険料を概算する。単身者向けの目安で、申告税額の確定には使わない

支払いごとの確認は源泉徴収 計算・逆算ツール、年間の資金計画は手取りシミュレーターへ。源泉徴収は所得税の前払いなので、年間の税額と精算します。源泉徴収されているだけで還付が決まるわけではなく、払い過ぎがある場合に還付の対象になります。

2026年9月27日確認。手取契約の考え方は国税庁 No.2792の質疑応答、支払い時の計算はNo.2795、払い過ぎた所得税の還付はNo.2030「還付申告」を参照しています。

源泉徴収税額の計算式

源泉徴収税額の計算式
支払金額(=報酬額)源泉徴収税額
100万円以下支払金額 × 10.21%
100万円超(支払金額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円

税率が中途半端な10.21%なのは、所得税10%に復興特別所得税(所得税額の2.1%)が上乗せされているためです(10% × 1.021 = 10.21%)。1円未満の端数は切り捨てます。

計算例1: 報酬20万円の場合

  • 源泉徴収税額: 200,000円 × 10.21% = 20,420円
  • 手取り(振込額): 200,000円 − 20,420円 = 179,580円

計算例2: 報酬150万円の場合

  • 源泉徴収税額: (1,500,000円 − 1,000,000円) × 20.42% + 102,100円 = 204,200円
  • 手取り: 1,500,000円 − 204,200円 = 1,295,800円

報酬額別・源泉徴収の早見表

報酬額別の源泉徴収税額と手取り(税込・区分なしの場合)
報酬額源泉徴収税額手取り(振込額)
10,000円1,021円8,979円
30,000円3,063円26,937円
50,000円5,105円44,895円
100,000円10,210円89,790円
300,000円30,630円269,370円
500,000円51,050円448,950円
1,000,000円102,100円897,900円

100万円ちょうどは「100万円以下」に含まれるため、全額に10.21%がかかり源泉徴収税額は102,100円です。20.42%が使われるのは100万円を超えた部分だけです。金額を入れて自動計算するなら源泉徴収 計算・逆算ツールが便利です。

源泉徴収税額の端数処理|1円未満は切り捨て

結論から言うと、求めた源泉徴収税額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り捨てます。50銭以上を切り上げるような四捨五入はしません(国税庁 タックスアンサー No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」に「求めた税額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てます」と明記)。

1円未満の端数が出る源泉徴収税額の計算例(税率10.21%・区分なし)
報酬額計算式(×10.21%)端数処理前源泉徴収税額
33,000円33,000 × 10.21%3,369.3円3,369円
55,555円55,555 × 10.21%5,672.1655円5,672円
88,800円88,800 × 10.21%9,066.48円9,066円
123,456円123,456 × 10.21%12,604.8576円12,604円
計算対象の金額を確認してから税額を求め、1円未満を切り捨てます。請求書の枚数だけで計算を分けたり、月内の報酬を無条件に合計したりしないでください。消費税を本体価格と明確に区分し、本体価格だけを源泉対象にする場合は、その対象額から税額を求めます。複数請求・分割入金の確認は次の表で整理します。

複数の請求書や分割払いは、どの金額で計算する?

請求書1枚と、源泉徴収の計算単位が必ず一致するわけではありません。ここでは、国内居住者への原稿料・デザイン料など、100万円以下と超過部分で税率が分かれる報酬を扱います。国税庁の所得税基本通達205-1では、原則は1回に支払われるべき金額で判断し、税率を掛ける金額の判定は実際の1回の支払額によっても差し支えないとされています。振込回数や請求書の枚数だけで、分ける・まとめると決めないことが大切です。

源泉税を照合するための支払単位の確認メモ(運営による実務整理)
支払いの状況支払元に確認すること
別々の契約・請求をそれぞれ支払う各契約の報酬額・支払期日・対象となる支払いを確認する。月額合計だけで計算単位を決めない
複数の請求を同時にまとめて支払う対象の請求と報酬額を照合し、税率判定に使った支払額を確認する。請求書ごとに計算すべきだと一律に決めない
1つの報酬の一部だけを支払う契約上の報酬総額・今回の支払額・残額と源泉税の計算明細を確認する。手取り入金だけを報酬額にしない
2026年10月4日確認:通達205-1は税率を掛ける金額の判定、No.2795(令和8年4月1日現在)は原稿料等の税率と税額の1円未満切捨ての根拠です。「分割なら必ず税額が減る」「まとめ払いは常に禁止」とは判断しません。司法書士等の別の控除ルールにはこの表をそのまま使わず、対象報酬の確認へ進んでください。

計算条件が確認できたら、源泉徴収 計算・逆算ツールへ源泉対象の報酬額を入力して照合します。この電卓は契約の支払単位の判定や、分割入金・未払分の自動按分までは行いません。

源泉徴収の対象になる報酬・ならない報酬

個人に対する支払いのうち、源泉徴収が必要な報酬は所得税法204条で限定列挙されています。代表的なものは次のとおりです。

  • 原稿料、挿絵料、写真の報酬、デザイン料
  • 講演料、技芸・スポーツ・知識等の教授料
  • 弁護士・税理士・社会保険労務士など士業への報酬
  • 翻訳料・通訳料
  • 芸能人・モデルの出演料

一方、プログラミング(システム開発)やWebサイトのコーディング自体は限定列挙に含まれず、原則として源泉徴収の対象外です。ただしWebデザインを含む場合のデザイン部分は対象になるなど、契約内容によって判断が分かれます。職種別の詳しい判定は源泉徴収の対象になる報酬・ならない報酬一覧を、迷ったら取引先の経理担当に確認しましょう。

支払う側が個人(源泉徴収義務のない個人事業主)の場合や、フリーランス同士の取引では源泉徴収されないことがあります。源泉徴収の義務は「支払う側」にあります。

消費税は源泉徴収の計算に含める?

原則は税込金額が源泉徴収の対象です。ただし、請求書で本体価格と消費税が明確に区分されている場合は、税抜の本体価格のみを対象にしてよいとされています(国税庁の取扱い)。

消費税の扱いによる源泉徴収額の違い(報酬10万円+消費税1万円の例)
請求書の書き方源泉対象源泉徴収税額振込額
税込110,000円とだけ記載110,000円11,231円98,769円
本体100,000円+消費税10,000円と区分100,000円10,210円99,790円

本体と消費税を区分して請求するほうが手取りの先取り分が増えます(最終的な年間の税負担は確定申告で精算されるため同じですが、キャッシュフロー上有利です)。請求書作成ツールでは区分記載・源泉徴収に対応した請求書を無料で作れます。

源泉徴収に対応した請求書の書き方(記載例)

小計(本体) 100,000円 消費税(10%) 10,000円 源泉徴収税額 △10,210円(100,000円 × 10.21%) ご請求金額 99,790円

このように本体価格と消費税を分けて記載し、源泉徴収税額を本体価格(税抜)から計算すると、源泉の対象が100,000円になり手取りが増えます。区分がないと税込110,000円が対象になり、源泉徴収税額は11,231円に増えます。

源泉徴収された税金は取られっぱなしではない

源泉徴収は所得税の前払いです。確定申告で1年分の所得税を計算し、源泉徴収された合計額のほうが多ければ差額が還付されます。経費が多い年や所得が少ない年は、数万円〜数十万円が戻ってくることも珍しくありません。詳しくは源泉徴収と確定申告・還付の仕組みをご覧ください。

確定申告では、支払調書、請求書の控え、支払明細・入金記録を照合して源泉徴収税額を集計します。支払調書は本人への交付が義務づけられているものではないため、届かない場合も支払元に税額の内訳を確認できます。請求額と入金額の差をそのまま税額にせず、未払報酬や未徴収税額がある場合は支払調書の確認方法も参照してください。年間の申告手順は確定申告 完全ガイドで確認できます。

よくある質問

源泉徴収後の手取りは、そのまま生活費に使える金額ですか?

いいえ。支払い時に源泉税を引いた額であり、年間の税金や社会保険料をすべて差し引いた額ではありません。年間の資金計画は売上・経費から別途試算し、源泉徴収された所得税は年間の税額と精算します。還付は払い過ぎがある場合です。

源泉徴収の10.21%は何の数字ですか?

所得税10%に復興特別所得税(所得税額の2.1%)を上乗せした税率です。10%×1.021=10.21%となります。復興特別所得税は2037年まで課されます。

100万円を超える報酬の源泉徴収はどう計算しますか?

100万円を超えた部分にのみ20.42%が適用されます。計算式は「(支払金額−100万円)×20.42%+102,100円」です。例えば150万円の報酬なら204,200円が源泉徴収されます。

消費税分も源泉徴収されますか?

請求書で本体価格と消費税が明確に区分されていれば、本体価格のみを源泉徴収の対象にできます。区分されていない場合は税込金額全体が対象になります。

エンジニアの開発報酬は源泉徴収されますか?

プログラミングやシステム開発の報酬は所得税法204条の限定列挙に含まれないため、原則として源泉徴収の対象外です。ただしデザイン業務を含む場合、その部分は対象になります。

源泉徴収された金額はどこで確認できますか?

支払調書、請求書の控え、支払明細・入金記録を照合します。入金差額には手数料などが含まれる場合があるため、差額だけでは税額を確定できません。支払調書が届かない場合も、支払元に源泉徴収税額の内訳を確認してください。

源泉徴収税額に1円未満の端数が出たときはどう処理しますか?

求めた税額の1円未満の端数は切り捨てます(四捨五入ではありません)。例えば報酬33,000円なら33,000円×10.21%=3,369.3円で、1円未満を切り捨てて源泉徴収税額は3,369円です(国税庁 タックスアンサーNo.2795)。請求書の枚数だけで計算単位を決めず、複数請求や分割払いは支払元の計算明細を確認してください。

複数の請求書をまとめて振り込まれたら、源泉税は請求書ごとに計算しますか?

請求書の枚数だけでは決まりません。国内居住者への原稿料・デザイン料などの100万円区分では、通達205-1により原則は1回に支払われるべき金額で判断し、税率対象額の判定は実際の1回の支払額によっても差し支えないとされています。契約・対象の請求・支払額と計算明細を支払元へ確認します。一部払いの自動按分や、分割すれば必ず税額が減るという意味ではありません。

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