パソコンや機材を経費にする方法|減価償却と少額特例の使い分け【フリーランス】

仕事用のパソコンや機材を経費にするときは、取得価額・業務での使用開始日・償却方法を確認します。原則は仕事に使い始めた年から費用化し、10万円未満なら全額、10万円以上なら減価償却など、金額と適用条件によって方法が分かれます。この記事では、フリーランス・個人事業主向けに、その選び方と計算例を整理します。

金額の分かれ目は「10万円・20万円・40万円」ですが、購入しただけでは、その年の経費になるとは限りません。10万円未満の資産や、要件を満たす青色申告者の少額特例も、業務に使い始めた年に必要経費へ算入します。以下は自分の業務で使う機材の一般的な扱いです。現金主義の特例の適用者や貸付用の資産は、別途取扱いを確認してください。

年末に買った機材は、いつの経費になる?

購入日と業務での使用開始日を分けて確認(2026年9月29日確認)
機材の状態費用化の考え方
年内に購入し、年内から仕事で使う使用開始年から、取得価額・選択した方法に応じて費用化
年内に購入し、翌年から仕事で使う購入年だけで全額経費にしない。原則は使用開始年から
通常の定額法を使う初年度は使用期間に応じて月割り。一括償却・少額特例とは分ける

領収書だけでなく、仕事で使い始めた日と用途も記録します。資産台帳では、取得価額・償却方法・使用開始月を確認してください。

国税庁No.2100「減価償却のあらまし」は、少額資産・一括償却・青色申告の特例について、業務の用に供した年を基準に示しています。金額区分を判定する取得日と、経費化を始める使用開始日は別に確認しましょう。年末の購入だけを理由に経費へ入れず、実際の用途・使用状況を確認します。

取得価額でわかる4つの分かれ道

減価償却資産は、取得価額(本体価格に送料・設置費などの付随費用を加えた金額)によって、次のように処理が分かれます。

取得価額ごとの経費処理(国税庁No.2100・財務省 令和8年度税制改正大綱に基づく)
取得価額(1個あたり)原則の扱い使う科目の例
10万円未満業務に使い始めた年に全額を経費にできる消耗品費など
10万円以上20万円未満一括償却資産として、取得価額の合計を3分の1ずつ3年で経費にできる(青色・白色問わず選択可)減価償却費
10万円以上40万円未満(青色申告の特例)要件を満たす青色申告者は、少額特例で業務に使い始めた年に全額を経費にできる(年間合計300万円まで)消耗品費(または減価償却費)
上記の特例を使わない高額なもの法定耐用年数にわたって減価償却する減価償却費

10万円以上20万円未満のものは「一括償却資産(3年均等)」と「少額減価償却資産の特例(青色なら全額)」のどちらも選べます。どちらが有利かは、その年の所得や、来年以降の見通しによって変わります。判定の単位はあくまで1個・1組ごとで、たとえば本体とディスプレイをセットで使うなら合計で判定するのが基本です。

取得価額を税抜・税込どちらで判定するかは、採用している経理方式(税抜経理か税込経理か)によって決まります。消費税の免税事業者は税込金額で判定します。10万円・20万円・40万円のラインぎりぎりのときは、どちらで判定するかで結論が変わることがあるので注意してください。

青色申告者の「少額減価償却資産の特例」(40万円未満)

青色申告書を提出している中小企業者等(常時使用する従業員が一定数以下の個人事業主を含む)は、要件を満たす資産を業務に使い始めた年に全額経費(必要経費)にできる特例があります。これが少額減価償却資産の特例です。令和8年度税制改正後の取得価額の区分も、国税庁No.2100で確認できます。

少額減価償却資産の特例(個人の所得税。財務省 令和8年度税制改正大綱による)
項目内容
対象者青色申告をしている個人事業主など(常時使用する従業員の数の要件あり)
対象の取得価額令和8年4月1日以後の取得分は40万円未満(それ以前の取得分は30万円未満)
経費にできる方法業務に使い始めた年に全額を必要経費に算入できる(適用要件の確認が必要)
年間の上限取得価額の合計で300万円まで(事業を行った月数が12か月未満なら月割り)
適用期限令和11年3月31日までに取得したもの

もともとこの特例は取得価額30万円未満が対象で、適用期限は令和8年3月31日まででした。令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以後に取得する資産から対象が40万円未満に引き上げられ、適用期限も令和11年3月31日まで延長されました(財務省「令和8年度税制改正の大綱」。所得税についても同様とされています)。年間300万円までという合計の上限は据え置かれています。

ラインが切り替わるのは「取得した日」です。同じ年でも令和8年3月31日までに取得したものは30万円未満、4月1日以後に取得したものは40万円未満が対象になります。高額な機材を買うタイミングや、その年の経費にしたいかどうかで、特例を使うか減価償却するかを選びましょう。最新の取り扱いは国税庁の案内もあわせて確認すると安心です。

10万円以上20万円未満なら「一括償却資産」も選べる

取得価額が10万円以上20万円未満の資産は、青色・白色を問わず一括償却資産として処理できます。これは、対象資産の取得価額の合計を3分の1ずつ、3年間にわたって均等に経費にする方法です。たとえば18万円のパソコンなら、毎年6万円ずつを3年間で経費にします。耐用年数に関係なく一律3年で償却できるのが特徴で、購入時期が年の途中でも月割りせず計算します。

少額減価償却資産の特例(その年に全額)と一括償却資産(3年で均等)は、同じ資産に重ねて使うことはできません。今年の所得を多く圧縮したいなら特例、所得を平準化したいなら一括償却、といった具合に目的で選びます。迷ったら、まずは会計ソフトに資産を登録すると、選べる方法と各年の金額が自動で表示されます。資産管理のしやすさはソフトで差があるので、会計ソフトの比較も参考にどうぞ。

減価償却の基本(定額法)と計算例

特例や一括償却を使わない場合は、資産ごとに決められた法定耐用年数にわたって減価償却します。個人事業主が原則として用いる方法は定額法で、毎年同じ額を経費にしていきます。計算式はシンプルです。

  • 各年の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率(耐用年数に応じて国税庁が定める率)
  • 使用開始の初年度は、事業に使い始めた月から年末までの月割りで計算します
  • 最後の年は、帳簿上1円(備忘価額)を残すまで償却します
計算例:24万円のパソコン(耐用年数4年・定額法の償却率0.250)を1月から事業に使った場合
年計算その年の減価償却費
1年目24万円 × 0.25060,000円
2年目24万円 × 0.25060,000円
3年目24万円 × 0.25060,000円
4年目残額(備忘価額1円を残す)59,999円

上の例は青色申告者なら特例で初年度に全額(24万円)を経費にすることもできますが、「今年は赤字気味だから、来年以降に経費を残したい」というときは、あえて定額法で数年に分ける選択もあります。どちらが得かは、その年と翌年以降の所得の見込み次第です。

主な耐用年数の例

減価償却で使う法定耐用年数は、資産の種類ごとに国税庁の省令で決まっています。フリーランスが使いやすい品目の例は次のとおりです。

主な器具・備品などの法定耐用年数(国税庁・確定申告書等作成コーナーの耐用年数表より)
品目法定耐用年数
パソコン(サーバー用を除く)4年
カメラ・映画撮影機・映写機5年
冷房用・暖房用機器6年
事務机・事務椅子(金属製)15年
事務机・事務椅子(金属製以外)8年
応接セット(接客業用以外)8年
軽自動車(総排気量0.66リットル以下の小型車)4年
中古で買った資産は、新品より短い耐用年数を使えることがあります(法定耐用年数の全部を過ぎたものは「法定耐用年数×20%」など、簡便法による計算が認められています)。中古品を事業用にした場合は、新品と同じ年数で計算しないよう注意してください。

どれを選ぶ?判断の3ステップ

  1. まず取得価額(付随費用込み)と使用開始日を確認する — 10万円未満なら原則として業務に使い始めた年に全額経費。税抜・税込どちらの経理方式かも確認します。
  2. 10万円以上なら、その年に全額経費にしたいかを考える — 今年の所得を圧縮したい青色申告者は、40万円未満まで少額減価償却資産の特例が使えます(年間300万円まで)。
  3. 所得を平準化したい・特例の枠を使い切ったときは償却を選ぶ — 10万円以上20万円未満は一括償却(3年均等)、それ以外は耐用年数に応じた定額法で減価償却します。

減価償却の計算や資産台帳の管理は、手計算だと間違えやすい部分です。会計ソフトに資産を登録しておけば、償却方法ごとの金額や毎年の仕訳が自動で計算され、確定申告書の「減価償却費の計算」欄にもそのまま反映できます。どの科目で処理するか迷う支出は勘定科目の選び方、経費にできるかどうかの判断はフリーランスの経費一覧チェックリストも参考にしてください。

なお、少額減価償却資産の特例は青色申告が前提です。青色申告にするメリットや手続きは青色申告と白色申告の違いで解説しています。経費(減価償却費を含む)を差し引いたあとの手取りの目安は、手取り計算ツールで確認できます。

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よくある質問

年末に買って、翌年から仕事で使うパソコンは購入年の経費ですか?

原則は購入年ではなく、業務に使い始めた年から費用化します。10万円未満の資産や要件を満たす青色申告の少額特例も、業務の用に供した年に必要経費へ算入します。取得日と使用開始日を分けて記録し、通常の減価償却なら使用開始月からの月割りも確認してください。現金主義の特例などを適用する場合は取扱いを別途確認します。

10万円のパソコンは買った年に全額経費にできますか?

購入年に仕事でも使い始めることが前提です。取得価額10万円ちょうどは「10万円未満」ではないため、原則は減価償却などで費用化します。要件を満たす青色申告者の少額特例なら、令和8年4月1日以後の取得分は40万円未満まで、業務に使い始めた年に全額を必要経費に算入できます(年間合計300万円まで)。取得価額の税込・税抜の判定も確認してください。

少額減価償却資産の特例は30万円から40万円に変わったのですか?

はい。財務省の令和8年度税制改正大綱により、令和8年4月1日以後に取得する資産から、対象が従来の30万円未満から40万円未満に引き上げられ、適用期限も令和11年3月31日まで延長されました。令和8年3月31日までに取得したものは従来どおり30万円未満が対象です。所得税についても同様とされていますが、適用にあたっては国税庁の最新の案内もご確認ください。

一括償却資産と少額減価償却資産の特例はどう違いますか?

一括償却資産は、取得価額10万円以上20万円未満の資産を、青色・白色を問わず3年間で均等(3分の1ずつ)に経費にする方法です。少額減価償却資産の特例は、青色申告者が一定額未満(令和8年4月以降は40万円未満)の資産をその年に全額経費にできる方法です。同じ資産に両方を重ねて使うことはできず、所得を今年圧縮したいか平準化したいかで選びます。

減価償却の計算は自分でやらないといけませんか?

定額法なら「取得価額×償却率」で計算でき、初年度は月割りします。手計算もできますが、資産が複数になると管理が煩雑です。会計ソフトに資産を登録すれば、償却方法ごとの金額・毎年の仕訳・確定申告書の減価償却費の計算欄まで自動で作成されるため、計算ミスを防ぎやすくなります。

中古で買ったパソコンの耐用年数は新品と同じですか?

中古資産は、新品の法定耐用年数より短い年数を使えることがあります。法定耐用年数の全部を過ぎたものは「法定耐用年数×20%」、一部を過ぎたものは別の簡便法で計算できます(いずれも1年未満は切り捨て、最低2年)。新品と同じ年数で計算すると経費化が遅くなりすぎるため、中古品は簡便法を確認するとよいでしょう。

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